「あの人は玉の輿に乗ったね」とか言ったりしますが、玉の輿の訳は、貴人の乗る美しい立派な輿、女性が結婚などによって富貴の身分になることと記されています。その語源には、二人の女性の存在がありました。
一人目はお玉さん。西陣の八百屋の娘で父親の死後、下級武士本庄家の養女となります。当時は士農工商の身分制度があり、商から士へ一気に上がります。その後、公家出身の尼僧(のちの三代将軍家光公の側室となるお万の方)の侍女となり大奥にあがります。成人後、お玉も家光公の側室となり、のちの五代将軍綱吉公を産みます。生母として従一位という当時の女性の最高位に上り詰めました。
二人目は京都祇園の芸妓お雪さん。アメリカの大富豪、モルガン財閥の創始者の甥ジョージ・モルガン氏の妻となった人です。失恋旅行に来たジョージは、外国人向けの茶屋で働くお雪を見初め、四年の月日をかけ、四万円(現在なら約八億円相当とか!)を払って身請けした。妾でなく、本妻として1904年1月20日、横浜で結婚式を挙げたのです。これが、「玉の輿の日」と呼ばれる訳です。モルガンお雪は、近代史上最高の玉の輿、日本のシンデレラと呼ばれました。
近年は「逆玉」という言葉もあるようですが、男女平等の世の中、お互いを高め合える相手に出会ったとき、その人とともに生きたいと思った時が最上の時なのではないでしょうか。でも、もし、お玉さんとお雪さんに出会うことができたなら、玉の輿の乗り心地、聞いてみたいものですね。
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